ルビィ(重松清)
随分と間が空いてしまいました。
久々の、本とみちくさの記事です。
今回は、重松清さんの「ルビィ」という小説について書きます。
重松清さんといえば、何年か前に「流星ワゴン」がテレビドラマになりました。
ドラマも良かったけれど、やはり私は、小説の流星ワゴンのほうが好きです。重松清さんの優しい文章のほうが、主人公や主人公に関係する人たちの、その時々の気持ちや気持ちの流れがすんなりと自分の中に入り込んでくる感覚がするからです。
さて。「ルビィ」は、売れない作家で自殺を図ったダザイさんが、ルビィと名乗る少女と出会うことで物語が始まります。
「7人の命を救わないと天国に行けない」ルビィと共に、ダザイさんも死を間近にする人たちを救う旅に出ます。
年齢や性別を超えて、自分と同じ痛みを抱えた人たちを、どうにか、死から少しでも遠ざけようと奮闘する2人。
同年代の誰か、徐々に生きることを諦めていくしかなかった誰か、かつて少年だった自分と似たような痛みを抱えた誰か。見知らぬ誰かも、いつかの自分と似た痛みを抱え、それでも必死に生きてきた。でも、それももう、限界に近いとこれまで追い詰められていた…
他の誰かからしたら、死ぬほどの痛みではないのかもしれない。でも、痛みは人それぞれ違うもの。
ちょっとの優しさ、ちょっとの勇気で、救われる人もいるのではないか…そんなふうに考えさせられた一冊です。