スキマワラシ(恩田陸)

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座敷童子

怖い存在ではないと知りつつも、よくわからない、不思議な存在。

 

恩田陸さんのスキマワラシを読んで思ったのは、見えるはずのない存在に出会ったとき。私たちは、どんな反応をするのだろう?悪さをする存在でないとわかっていても、やはり、怖いとか、気味が悪いとか、思うものなのだろうか?ということ。

古い建物や物があるところに現れる、スキマワラシ。幼い頃に亡くなった両親が、それに関係しているらしい…

古物商の兄と、弟。いまスキマワラシを見たり話を聞いたりするのは、いま両親のことを知るタイミングだからではないか?そう感じ、少しずつ、スキマワラシに近づいていく。

いままで感じてきたこと、遠い日の記憶…そういうものとの折り合いを、少しずつ、少しずつ、つけていく。最後には、自分たちが知っていればいいことだからと、大切な人に対して、自分たちの答えをいますぐには伝えないという結論を出す。

ちょっとの切なさと、温かな気持ちを残して、物語は終わる。

 

これまでに読んできた恩田陸さんの作品とは、少し雰囲気が違うなぁと感じました。でも、やっぱり、不思議な世界観は、恩田ワールドとしか表現できません。

日常の中の、非日常。それを味わってみたいという方は、ぜひ、読んでみてください。