図書館ホスピタル(三萩せんや)
本には、人を癒す力がある。
自分の気持ちを代弁してくれているように感じられたり、こうしたらいいんだと感じられたりする瞬間。本を読む人なら、必ず、経験したことがあるでしょう。
図書館ホスピタルという小説は、病院の跡地にある私設図書館のスタッフと利用者との心温まる物語。
「あの病院に行けば病気が治る」と評判の病院が閉院。その跡地にできた、私設図書館もまた「あの図書館に行けば元気になれる」と評判だった。
何かを抱えた利用者たちが訪れる。スタッフとの出会い、本との出会いで、気持ちが軽くなり表情が変わる。
就活がうまくいかずに私設図書館で働くようになった主人公は、これまでに本を読んだことはほとんどない。しかし、他のスタッフや利用者との関わる中で、本を読んでみようと思うようになる。
笑顔と物語。
それは、副作用のない薬と言ってもいいかもしれない。
不安や心配で気持ちが晴れないとき。
一冊の本、穏やかな微笑みがあれば、気持ちに変化が起こる。
あぁ…私もいつかは、こんな私設図書館を開くことができたらいいなぁ…と思わせてくれる一冊でした。