みどりの月/角田光代
こんにちは。
今日は、もしかしたら初めて読んだかもしれない、角田光代さんの小説「みどりの月」のご紹介です!
成り行きで始まった、男女4人の共同生活を綴った「みどりの月」
別れの予感を抱えた夫婦の、あてのないアジア放浪を描く「かかとのしたの空」
この2つの物語が収録されています。
2つの物語に共通しているのが「イライラ」と「不快」そして「孤独」
誰かと生活を共にしている以上、イライラしたり、不快になったりということは、少なからずあるでしょう。そして、時には孤独を感じることも…
この物語を読んでいると、主人公がイライラしたり不快に感じたりしている人物が、本当はいい人なんじゃないか?魅力的な人のような気がするなぁ…そう思える瞬間があります。
主人公の気持ちもわかるけど、それでも、そんなに怒らなくても…と思ってしまう。なんだか不思議な感覚を覚えてしまいました。
解説のタイトルが「いろんな気持ちが本当の気持ち」というものなのだけど、それな〜、と妙に納得してしまいました。
読み終えた瞬間。ちょっとだけ未来に光が見える感じ…というか、まぁいいや、と思えるというか。
明るい孤独。やるせない心。そういうものとの付き合い方を考えさせられる一冊です。
図書室の海/恩田陸
私設図書館「本と道草」
初めてのブログは、恩田陸さんの「図書室の海」を取り上げます。
恩田陸さんといえば、六番目の小夜子、夜のピクニック、蜂蜜と遠雷、などの小説がパッと頭に浮かびます。
20年ほど前に六番目の小夜子をドラマ(たしかNHK教育だったような…)で観て以来、不思議な世界観の物語に引き込まれ、次々と小説を読んでいきました。
最近だと、蜂蜜と遠雷が映画になりましたね!(何年前だ…2年?3年?)
この「図書室の海」は短編集です。10作の短編がまとめてあります。
私のお気に入りは、やはり、六番目の小夜子の番外編である「図書室の中」と、夜のピクニックの前日のお話し「ピクニックの準備」ですね。
☆高校で、代々語り継がれる「サヨコ伝説」
それに関わる使命を預かる少女と、後輩2人との図書室での物語。
「サヨコ伝説」って、3年に一度に起こることなのだけど、その間に誰かが引き継がなくてはいけない。その引き継ぎを担っている少女の、物語。
なんだか、不思議ですよね。誰かが止めてしまえば、すぐに忘れ去られるはずの伝説を、毎年誰かがきちんと引き継いでいるなんて。
☆毎年恒例の学校行事。通称「夜のピクニック」
全校生徒で夜通し歩き続けるという、ちょっと変わった行事。でも、3年生にもなると「これが最後かぁ」とちょっと寂しさを感じる行事。
友だち同士でおしゃべりしながら歩くもよし、部活の仲間たちと早くゴールをすることを競うもよし。それぞれに、それぞれのやり方で楽しむ。
ちょっと訳ありなクラスメイトと一緒に歩きたい。そう願う少女の、ピクニック前日の想い。
若者を全力で応援したくなる物語です。
自分の人生の主人公は、自分自身。
なんとなく、そう励まされているような感覚になる本…といったら、大袈裟かな?
とにかく。なんだか気持ちがちょっと明るくなるようなお話しばかりなので、ぜひ、読んでみてください(´∀`*)